ヴェルクと大阪大学 高等教育・入試研究開発センター(CHEGA)は、『DX推進に向けた新たな大学IRの社会実装』を研究題目として、2020年11月1日より共同研究を開始し、同日に大阪大学 吹田キャンパス産学共創A棟に研究室「Institute Research Innovation Laboratory(IRI Lab.)」を開設しました。プレスリリースはこちらです。
IRI Lab.で推進する研究
IR界隈でよく聞かれる課題の一つに「人的リソースの不足」があります。特に中小規模の大学では深刻です。
例えば学生数10,000名規模の大規模大学に比べ、学生数1,000名規模の小規模大学は分析に費やすコスト(人的リソースを含む)は1/10で済むかというとそんな事はありません。相対的に中小規模の大学はIRにかけるコストが重くなってしまう傾向があります。
大学IRはそれぞれの大学の特性に合わせたデータ分析が求められますが、それでもどの大学でも実践できる共通的な分析手法やデータ運用方法は少なくないと考えています。
IRの効率化を研究するにあたり、私達はデータ分析の現場における「収集」「前処理」「分析」「共有」という4つのフェーズを定義、課題の整理を行いました。
下記は各フェーズにおける課題の一例ですが、IR関係者の方の中には実際に直面されている方もいらっしゃるかもしれません。
収集における課題例
- IRを前提としたデータ運用を行っていないため必要なデータをそもそも収集していない
- データがそれぞれの担当部署(もしくは担当者)に閉じており年度によりデータ項目や内容にばらつきがある
前処理における課題例
- 分析を行うための必要な整形作業のイメージが掴めない
- データごとに粒度がバラバラで分析に適する形に結合できない
分析における課題例
- ノウハウが無いためどのような分析軸から着手すべきかがわからない
- BIツールの効果的な利用法がわからない
共有における課題例
- タイムリーな分析結果の共有ができない
- 分析結果の共有が紙ベースのため手間がかかる
IRI Lab.では各フェーズの課題を精査し、リソースの制約が大きい中小規模の大学でも効果的にIRを推進できるように下記3分野の研究を進めています。
- 大学IRへのAI技術の導入
- 大学IRへのBIツールの導入・展開
- 大学におけるDX推進をリードする人材の育成プログラムの開発・提供
これらの研究成果は日本全国の大学に順次還元していく予定です。
ヴェルクのブログでも大学IRをテーマとした情報発信を推進してまいります。